契約業務は Acrobatで一本化。内容理解から作成・署名・保管まで
業務の中でも、苦手意識を感じている人が多いのが「契約書のチェック」ではないでしょうか。
こんにちは、フリーライターの小暮ひさのりです。
フリーランスと企業の間でも、企業同士の取引でも、業務を行ったり情報をやり取りしたりする際には、その内容に即した契約書を交わす必要があります。僕も過去何度も契約書にサインをしてきたのですが、ここ最近はすっかりその方法が様変わりしました。
以前は書面で受け取り、捺印して、返送。
それが今では、すっかり電子契約がスタンダードに。多くの企業で導入が進み、契約書のやり取りはすでにデジタルが前提の業務になりつつあります。
そこに拍車をかけたのが、2024年に施行された『フリーランス新法』ですね。企業と個人の取引においても、業務内容や報酬、期間といった条件を、より明確に示すことが求められるようになりました。結果として、契約書を扱う機会は確実に増えています。
電子契約が当たり前になった時代、契約書業務に求められるスピードとは
そこで本題です。正直、契約書って複雑だと思いませんか?
お互いの権利義務に関わる情報が細かく記載されている、ものすごく大事な書類。なので、ただ「目を通す」だけでは足りません。内容をちゃんと理解して読み込む必要がありますが、そうなるとかなりの時間と集中力が必要です。
どこが重要で、どこに注意すべきなのかを理解し、必要であれば修正を相談しながら署名まで一気に進める。これを日常の業務と並行して行う必要があるので、「正確な理解に基づいた、早い意思決定」が求められています。正直なところ、大変な業務です。
そこで今回は、このハードルを現実的に下げてくれる「Acrobat」と 「Acrobat AI アシスタント(以下、AI アシスタント)」を組み合わせたワークフローを紹介していきましょう。契約書の「読む・作る・署名する」までの一連の業務を、Acrobatだけで無理なく完結できる流れを、実務目線で見ていきます。
「読むだけで疲れる」を変える、 AI アシスタントの契約読解力
まず、契約書を読むとき、多くの人が引っかかるのは「文章量」そのものではありませんよね。問題は、独特の言い回しや前提条件が重なり、「結局、何を約束しているのか」が見えにくい点。
ここで活躍するのが、AI アシスタントです。契約文書の読解にも活用できる契約インテリジェンスを搭載したAIが、文書の内容を深く理解し、要点を整理してくれます。
このAI アシスタントは、「Acrobat Standard」や「Acrobat Pro」ではアドオン(追加機能)として、「Acrobat Studio」では標準機能として組み込まれています。
| 他者の個人情報など、個人情報保護法/マイナンバー法に抵触する可能性があるものは慎重に取り扱いましょう。抵触する恐れのある情報については、墨消しやトリミングするなど、アップロードする情報を最小限にして利用することを推奨します。 |
使い方は、とてもシンプルです。画面上の「生成要約」を選択するだけで、AIが契約書の書式を自動的に認識して内容を素早く解析。ウィンドウ右端に AI アシスタントによる要約が表示され、契約書の内容に沿って大事な箇所を端的にわかりやすく解説してくれます。
さらに AI アシスタントの便利なところは、長い条文をそのまま要約するだけでなく、疑問点を 質問できるところ。
AIを使わない場合は、全文をスクロールしながら、もしくはキーワードで検索をかけながら逐一該当箇所を探して、自分で理解して、わからないことがあれば調べ直して...。と時間をかけて解決していたと思いますが、AI アシスタントであれば、質問を投げかけるだけで答えが返ってきます。
例えば、「制作物の権利はどちらが所有するのか?」「再委託の条件は?」「この契約の解除条件は?」など。チャット形式で尋ねるだけで、内容を踏まえてわかりやすい回答が返ってきます。引用箇所をクリックすると、該当する原文がハイライトされるので安心できますね。
さらに制作物に関する権利の質問から発展した、こんな質問もOKです。
「仕事の成果として個人ブログに紹介することはできるのか?」「必要な許可の取り方や注意点」など、契約内容を踏まえたうえで、一般論的な解釈でのアドバイスをもらうこともできます。これは便利。
人が一から読み解こうとすると、時間がかかり、しかも見落としやすい作業を AI アシスタントが下支えしてくれる結果、契約書を読む時間そのものが短くなるだけでなく、「理解できている」「疑問が解決する」という安心感も一緒に手に入るのです。
実際僕は、これなら契約書を読む時間のカットと契約内容の理解度向上を両立できると感じました。
機密情報を扱っても大丈夫?Acrobatと AI アシスタントが「契約書向け」と言える理由
ここまで読んで、「でも、契約書を AIに読ませるのはちょっと怖い」と感じた人もいるはずです。その感覚はもっともで、契約書には報酬や権利関係など、外に出てはいけない情報が詰まっていますからね。
ただ、その点においても AI アシスタントは安心して使える設計になっています。読み込ませた契約書の内容がAIの学習に使われることはありません。
さらに、AI アシスタントが参照するのは、自分が Acrobatに読み込ませた文書だけ。インターネット上の情報や、どこかに蓄積されたデータを横断的に参照して回答することはありません。
そのため、「契約内容への質問」に対する答えは、必ず契約書の中身に根拠があります。回答と同時に該当箇所がハイライト表示されるので、「AI がそう言っているから」ではなく、「ここに、こう書いてある」と確認できる。この安心感は大きいと感じました。
こうした仕組みは、アドビがエンタープライズ向け製品で長年培ってきた、セキュリティやデータガバナンスの考え方が土台になっています。
「便利だけど、ちょっと不安」
そのブレーキを、きちんと理屈で外してくれる。Acrobat AI アシスタントは、契約書のようなセンシティブな文書だからこそ使いたくなる AIだと感じました。
※AI アシスタントのセキュリティやデータガバナンスについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
企業でも安心して利用できる Acrobat AI アシスタント: データガバナンスとセキュリティへの取り組み(Adobe Blog)
作成から署名まで、契約書業務が「一本の線」でつながるAcrobat
これまで、契約書の内容を読み解き、理解・確認する業務について紹介してきましたが、Acrobatは、契約書の作成や署名の場面でも活躍します。
例えば、Wordで作成して、PDFにして、署名用のサービスにアップロードして...と、ツールやサービスの切り替えも複雑になりがちですが、Acrobatには PDFの編集機能が備わっています。これによりPDF化した後でも文書の修正や調整が可能。過去に作成したPDFの契約書をテンプレートとして再利用したり、条文の修正や注釈の追加を行ったりと、最終形となる PDFを起点に契約書を仕上げることができます。
これにより、「修正があったら Wordから作り直し...」という制約や「契約書のために、別のツールを覚える」「追加のコストをかける」といった手間を抑えられ、柔軟に作業を進められる点は大きなメリットではないでしょうか。
さらに優れているのが、Acrobatには電子サイン(電子署名)の機能も備わっているところです。Acrobatの中に、契約書の作成から署名依頼までに必要な機能が揃っているため、「契約書のために、また別のツールを覚える」「追加のコストをかける」といった手間を抑えられます。(※ここで紹介しているのは、Acrobatに搭載されている電子サイン機能です。本記事では、エンタープライズ版の電子サイン機能は対象としていません)
署名欄を作成して署名依頼を送れば、相手はオンラインで署名可能。完了した契約書は、 Acrobat上で一元管理できるため、作成から署名、そして保管までを、一連の流れとして完結できます。
実際の流れも拍子抜けするほどシンプルですね。
Wordなどで作った契約書をPDFに変換し、Acrobatで最終チェックと署名欄を設定。
そのまま相手に送って、署名が終わったら契約締結が完了。契約書を受け取る側は、アドビのアカウントを持っていなくても、契約書の確認から電子サインまでできるので相手の環境を問わないのも便利ですね。
なお、この Acrobatの電子サイン機能は、国内外の法制度に対応しています。
(※契約・手続きの種類や相手先の要件によっては、紙での押印や、電子証明書を用いた電子署名が求められる場合があります)
送信した側はAcrobat上で受信相手の進捗状況(受け取り、確認、コメントのやり取り、締結)を把握できるのも安心できます。契約のスムーズ化に効果的。
こうして、やっていること自体は今までと変わらないのに、ツールを分けて行ったり来たりする手間が消えるのです。あの複雑かつ分散していた作業がこうもキレイに整備されて楽になるのかと感じました。
契約書を「読む人」から「作る人」まで、Acrobatで完結する
読むのに時間がかかる。理解できているのか疑問が残る。さらに作成や署名の段階では、ツールを切り替えるたびに集中力が途切れる...と、さまざまな面で不安を感じ手間もかかる契約書。
しかし、電子契約が一般的になった今、Acrobatがあれば、契約書を読むのにも、作るのにも大きく手間を減らすことができますし、複数の場所に散らばりがちな文書も Acrobat上のオンラインストレージにまとめられて、ファイル管理の効率化も狙えます。さらには他のクラウドストレージとのアカウント連携もサポートしているので、Google ドライブなどにあるPDFをAcrobatから直接開いて編集するなど、作業も管理もグッとシンプルになるでしょう。
こうして、契約書の閲覧も、理解も、作成も、署名も、管理もすべてAcrobatで完結。やっていること自体は、これまでと大きく変わらないのに、契約文書の読解を支援するAIや、契約業務の要となるサポートと機能がすべてAcrobatには備わっているのです。
次に契約書を受け取ったとき。あるいは、自分で契約書を作るとき。
「まずAcrobatで開いてみる」を実践してみましょう。それだけで、あの面倒だった契約書との付き合い方が変わり、業務のスピードと品質の向上へと繋がるはずです。
※記事内の契約書は独立行政法人情報処理推進機構の配布テンプレートを利用しています。(https://www.ipa.go.jp/digital/model/model20201222.html)
※本記事で使用している契約書、請求書ならびに企業名は、すべて架空の情報です
※記事内資料:https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/
(2025年公正取引委員会フリーランス法特設サイト)