保存版|Illustrator 2025 登場!文字組みの改善点と新機能、過去データの取り扱いを総チェック!

Illustrator|文字組み関連総チェック

2024年10月にリリースされたAdobe Illustrator(ver.29)は、この新しいテキストエンジンが搭載される最初のバージョンとなります。
今回の記事では新たにリリースされたIllustrator (以降、わかりやすくIllustrator 2025と記します)での文字組みの改善点や、以前のバージョンのファイルを開くときの注意点について紹介します。

[記事の構成]

どこが変わった? 文字組み機能の改善点

Illustrator 2025では、文字組み機能のどのような点が改善されているのでしょうか。おもなポイントを具体的に見てみましょう。

1.エリア内文字オプション:上下中央揃えがより正確になった

エリア内文字を「エリア内文字オプション」で「中央揃え」に設定した場合、これまでは上下中央からやや下に配置されていました。
Illustrator 2025では、「段落」パネルのパネルメニューで「仮想ボディの上基準の行送り」を選んでいるとき、テキストエリアに対して文字が上下中央に配置されるようになりました。

Illustrator|文字組み関連画像

2.自動カーニング設定時、文字がテキストエリアを超えないようになった

これまで、フォントやテキストエリアのサイズの組み合わせによって、メトリクスカーニングやオプティカルカーニングによって、行をまたぐ2文字間がツメられるとき、テキストエリアをはみ出て文字が配置されるケースがありました。Illustrator 2025では、すべての文字はテキストエリア内に収まるようになっています。

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3.縦組み+平体の文字に「アキを挿入」したときの挙動の改善

これまで、縦組みかつ垂直比率を100%以外にしている場合(=平体にしていた場合)、「文字」パネルの「アキを挿入」で加わるアキ量が、変形前の文字サイズをベースにしていましたが、Illustrator 2025では変形後のサイズを基準としたアキ量に変更されています。

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このほかにも、これまでユーザーのみなさまから寄せられたご意見、ご要望を反映した改善が行なわれています。

Illustrator 2025で2024以前のファイルを開く

以前のバージョンのaiファイルを、Illustrator 2025で開く場合、aiファイルに含まれる情報によって、開く際に表示されるダイアログが異なります。以降、バージョンごとに3つのダイアログパターンについて解説をします。

Illustrator|ファイルアイコン

1. Illustrator 2023(27.7)〜2024のファイルを開く

Illustrator 2023(27.7)以降で作成、保存されたaiファイルには、文字位置を記録した「テキストレイアウト情報」が保存されています。
この情報を含むファイルを開いた場合、「更新」「変更を確認」「キャンセル」の選択肢が現れます。

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デフォルトの選択肢は「更新」となっています。
過去のテキストレイアウトを維持するためには「変更を確認」を選択しましょう。

2. Illustrator CS〜2023(27.6)のファイルを開く

「テキストレイアウト情報」が保存されていないIllustrator CS以降のファイルでは、以下のダイアログが表示され、「キャンセル」「OK」の選択肢が現れます。

Illustrator|文字組み関連画像

テキストを更新せず、以前の文字組みを保持したい場合は、Illustrator 2024でファイルを開き、「文字組み保存プラグイン」でファイルを再保存してください。
環境にIllustrator 2025しかインストールされていない場合、以下のガイドを参考に、Illustrator 2024と「文字組み保存プラグイン」をインストールしてください。

#966400

[作業時のポイント]

Illustrator 27.7以降で保存したaiファイルを開いた際に、このダイアログが出る場合、テキストレイアウト情報は正常に保存されていません。「文字組み保存プラグイン」を使い、ファイルの再保存をお試しください。

3. Illustrator 10以前のファイルを開く

Illustrator 10以前のテキストは「レガシーテキスト」と呼ばれ、現在のフォントテクノロジーに対応する以前の形式です。このファイルを開く場合、「更新」「キャンセル」「OK」の選択肢が現れます。

Illustrator|文字組み関連画像

#966400

[Illustrator 2025のファイルを2024以下で開く]

Illustrator 2024以前と2025では、テキストエンジンが異なるためにテキストレイアウトに互換性はありません。2025で作成、保存したaiファイルを2024以前のバージョンで開いたときの挙動は以下の通りです。

  • 2024:2025のテキストレイアウトは保たれますが、テキストオブジェクトを移動、編集した場合、2024のテキストエンジンでテキストが更新されます
  • 2023以前:開いたバージョンのテキストエンジンでテキストが更新されます

Illustrator|文字組み関連画像

2025で保存されたaiファイルを2024で開き、文字ツールでテキストオブジェクトをクリックした際に現れるアラート

新機能|テキストの変更点を確認できる「文字組み更新」機能

テキストエンジン強化にあわせて、Illustrator 2025に搭載された新機能が「文字組み更新」パネルです。
このパネルを使うことで、2024以前のバージョンで保存されたaiファイルをIllustrator 2025で、開く際に、どこが、どのように変わるのかを視覚的に確認できるようになります。

「文字組み更新」パネルを使うには、まず「ウィンドウ」メニューの「書式」にある「文字組み更新」にチェックを入れます。

Illustrator|文字組み関連画像

「文字組み更新」パネルのおもな機能は次の2つです。

変更内容の表示方法は以下の3通りがあります。

Illustrator|文字組み関連画像

「文字組み更新」パネル

Illustrator|文字組み関連画像

更新前または更新後のテキストを表示している場合は、「変更をハイライト表示」することで、さらにくわしく変更内容を確認できます。
Illustrator 2024以前のファイルを、2025で開く場合には、「文字組み更新」パネルを活用し、変更点を確認しながら編集をするとスムーズに作業を行なうことができます。

Illustrator|文字組み関連画像

Illustrator|文字組み関連画像

#966400

[テキストが更新されるタイミング]

テキストレイアウト情報が保存されている場合、テキストに変更を加えない限り、以前の文字組みは維持されます。
文字ツールでテキストオブジェクトを編集する場合のほか、テキストオブジェクトを移動する/テキストオブジェクトを選択して、文字パネルやプロパティパネルで文字属性に変更を加える場合も、テキストは更新されます。

Illustrator|文字組み関連ダイアログ

文字ツールでテキストオブジェクトを編集する際に表示されるダイアログ

[文字組み更新機能の操作]
https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/using/reflow-viewer.html

テキストレイアウト情報を含むデータをつくるには

旧バージョンのファイルをIllustrator 2025で開いたとき、「文字組み更新」パネルを使って文字組みの変更点を確認できるのは、「Illustrator 2023・27.7以降、またはIllustrator 2024・28.0以降のバージョンで作成・保存された“テキストレイアウト情報”を含む aiファイル」に限られます。
2024以前のIllustratorで作成・保存されたファイルの場合、「文字組み保存プラグイン」を使用して、ファイルを再保存することで、「文字組み更新」機能に対応するために必要な テキストレイアウト情報 を含むファイルを、確実に、かつスムーズつくることができます。

一括再保存にも対応した「文字組み保存プラグイン」のダウンロードおよび使いかたについては、以下の記事を参照ください。

Illustrator 2025での文字組改善点、「文字組み更新」パネル、複数のバージョン間でデータをやりとりする際の注意点等に関する、詳細な情報については以下のドキュメントを参照ください。

Illustrator互換性ガイドブック

アドビでは今後も、ユーザーのみなさんのご意見、ご要望を取り入れながら、Illustratorの文字組み品質向上に取り組んでまいります。
Illustratorのさらなる進化にどうぞご期待ください。

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