クリエイター必見！Adobe Firefly で広がるタイポグラフィーデザインの新境地

安全な道を進むクリエイターがいます。学び、進化することに全力を注ぐクリエイターもいます。そして、Anton Burmistrov のように、常識的なルールに従わないクリエイターもいます。スペインのバレンシアを拠点に活動するこのエストニア人のデザイナーは、生成 AI の限りない可能性に触発され、「再帰的アプローチ」と呼ばれる、既存の形状を想像し得るあらゆるオブジェクトに変えることが可能なデザインの新しい形式をつくり出しました。

この試みは、アドビの生成 AI モデルファミリー Adobe Firefly の創造的で型破りな使い方により審査員を魅了し、2024 Adobe MAX Creativity Award を受賞しました。「再帰的アプローチ」はさらに進化を続け、世界中のグラフィックデザイナーに、彼らのどんなタイポグラフィーに関する夢でも実現してみせる、AI を搭載した魔法の杖を提供しています。

「デザイナーにとって、成長し、向上するということは、新しいスキルを習得することだと言えるでしょう。私にとってそれは、3D デザインの能力を育てて、その力を AI を使って思いもよらない形で応用することでした」と Burmistrov は話しています。「これまで、文字は AI モデルにとって難題でしたが、Firefly は他のモデルには不可能な方法で、形状を読み取りプロンプトを適用することが可能です」

伝統的なアートから未開拓のデザイン領域へ

Burmistrov が初めて触れたアートは、彼が今日制作しているデジタルデザインからは、かけ離れたものでした。彼の父親は東方正教会の保存修復師だったため、彼は、古典的な油絵や宗教的な遺物に囲まれて育ちました。

しかし、彼はすぐに活動領域を広げました。Burmistrov は 10 代でデッサンのレッスンを受けてアートスクールに通い、最終的には 2011 年にグリニッジ大学からグラフィックデザインの学位を取得しました。卒業後に、彼はブランディングと広告の世界に入り、それ以来、前に進み続けています。

「ブランド戦略のクライアント企業は、我々デザイナーを、アイデアや曖昧なガイドラインの一片から、意味のあるものを形づくる存在として信頼しています」と Burmistrov は言います。「その結果、大成功を収めることもあれば、失敗して無に帰すこともあります。ストレスの多い仕事ですが、うまくやり遂げたときには、信じられないほど満足感を得られます」

同時に Burmistrov は、広告を、クリエイティビティの「未開拓の隙間市場」だと考えています。多くの専門家が、試行錯誤により確立されたクリエイティブな手法に固執していますが、一方で、優れた広告主は、すべての新しい提案の種を、実験の機会として扱います。

「幸運な間違い」に発想を得た革命的なデザイン

ごく最近になって、Burmistrov の実験に対する愛情が、彼を生成 AI の世界へと誘いました。彼は 2024 年初期に Adobe Firefly を試し始めて、瞬く間に、生成 AI が新しい方法でデザインを作成して視覚化するために役立つことを理解しました。

「再帰的アプローチ」は、Burmistrov のクリエイティブな課題解決者としての才能と、新しいテクノロジーに対する積極性を示す格好の事例です。彼は、ユニークな文字デザインを作成するため、Adobe Illustrator、オンラインの画像、個人的な写真を、Firefly の構成参照やスタイル参照に入力しました。そして、シンプルなテキストプロンプトを使ってデザイン案を形にしました。その後、彼は、Firefly からの出力を手作業で編集し、オリジナルの画像を作成しました。以来、彼のタイポグラフィのライブラリは増えるばかりです。

再帰的アプローチは瞬く間に成功を収めました。デザイナーはブランドのトーンを指定するために生成 AI モデルのプロンプトを使用できるか？という問いを確認するために始まった実験は、グラフィックデザインのコミュニティ全体に波紋を広げる文字デザインの画期的な手法になりました。Adobe MAX Creativity Awards の審査員が言及したように、再帰的アプローチは、一般的なベクターデザインを、タイポグラフィの芸術形式に昇華させました。

再帰的アプローチのためのプロンプトを、開発し、テストし、改良している間、Burmistrov は Firefly が生成する「幸運な間違い」を楽しんでいました。この予期せぬいくつかの出力が、しばしば彼のデザインコンセプトを見直して、調整するきっかけとなったのです。彼は、デザイン作業中に起こる偶然を利用してタイポグラフィの新しいスタイルを開発することで知られている、尊敬すべきアーティスト Alex Trochut の熱烈なファンです。Burmistrov は、彼の 3D タイポグラフィにおける革命的な試みに取り組む間、Alex と同様の考え方で挑んでいました。

創造への欲求に導かれて

Burmistrov は、生成 AI を活用し、さらに境界を押し広げ続けています。たとえば、彼はデザインブリーフの作成などのクライアントワークにも、Adobe Firefly を使い始めています。これには、Yum Tongue のような、ユニークなコンセプトグラフィックも含まれます。Yum Tongue は、Burmistrov がビデオチュートリアルシリーズ Design Academy の一環として開発したもので、仲間のデザイナーに知識や洞察を共有する以上に、Burmistrov の最も実験的な作品の野心的な性質がますます強く反映されました。

Burmistrov は慌ただしい 1 年を振り返って、特に最新のテクノロジーがグラフィックデザインをかつてないほど実現しやすいものにしたことに触れ、同じ分野の他のアーティストたちに大胆不敵であることを奨励します。「アイデアは、何かをつくりたいという願望が生み出す結果です」と彼は言います。「アーティストとしてその願望を持っているのなら、成すべきことは、前に大きく踏み出して、それがどこに向かっているのかを確かめるだけです。そしてもちろん、その過程を楽しむことです」

Anton Burmistrov と彼の画期的なグラフィックデザインの手法については、彼の Instagram または彼のサイトをご覧ください。

この記事は Anton Burmistrov unlocks a new world of typography design with Adobe Firefly（著者: Anusha Thalapaneni）の抄訳です