Adobe Express と生成 AI ツールで販促活動の効率化を促進する三井不動産商業マネジメント株式会社の取り組み
三井不動産商業マネジメント株式会社は「ららぽーと」「三井アウトレットパーク」をはじめとする 80 を超える商業施設の運営・管理をしています。同社が運営する各施設では、集客や購買意欲の喚起を目的に様々な販促施策が実行されます。それらの施策に欠かせないクリエイティブ制作の生産性を高めることは、同社にとって重要な課題の一つでした。その解決のために導入されたのが、 Adobe Express と画像生成 AI ツールです。
三井アウトレットパークのイメージ画像 提供:三井不動産商業マネジメント株式会社
画像生成 AI はクオリティの高い画像を短時間で生成できます。しかも誰でも手軽に利用できます。同社のマーケティング推進部は、生成 AI のこうした特徴を活かすことができれば、クリエイティブ制作にかかわる懸案を解決できると判断しました。
「部署内にデザインスキルを持つメンバーがいないため、イベント等の告知をするとなれば、制作物を外注する形になります。そうすると費用面のコストだけでなく、発注したり差し戻しをしたりといった時間的なコストもかかります。これがちょっとした制作物でも発生していることを課題に感じていました。生成 AI を使って簡単な制作作業を部分的にでも内製化できれば、業務の生産性の向上や制作物の数の増加、さらに精度の向上が期待できます」とマーケティング推進部 マーケティング推進課 主任 高橋 衛氏は語りました。
そうして着手したのが、販促業務に携わるメンバーへのAdobe Express と画像生成 AI ツールの提供です。マーケティング推進部 マーケティング推進課 上田 紅緒氏は、実際にツールを利用したメンバーの一部にアンケートを取ったところ、「8 割がクリエイティブ制作に係る時間や手間を省略できたと回答し、同じく 8 割が 1 時間未満で画像を制作できてクリエイティブ制作における業務効率化を実感していると回答した」とその成果を紹介しました。
マーケティング推進部 マーケティング推進課 主任 高橋 衛氏(右)、マーケティング推進部 マーケティング推進課 上田 紅緒氏(左)
生成 AI ツールの実用性を実際のキャンペーンで確認
これまでの社内の常識は「お客様に出すものはプロの手で」でした。そこでマーケティング推進部は、Adobe Express と画像生成 AI ツールの導入に先立って、実際のキャンペーンを内製バナーの効果を検証するテストケースとして利用し、クリエイターが制作したバナーとのクリック率の比較を行いました。その結果、遜色のない成果が確認できたと高橋氏は話しました。
「Adobe Express と画像生成 AI を使用して、社内で様々なバナーを制作しました。かなり自由にデザインしたものもあります。そしてそれを、クリエイターさんが制作したバナーと同時に SNS に配信しました。すると、そこまで大きな差は出なくて、中には効果の高い内製バナーもありました。検証を本当に何回も繰り返して、その実績を数値として出して説明していくことにより、画像生成 AI を活用した内製化を進めても大丈夫だと社内の了解を取り付けることができました」
検証のために社内で作成したバナーの一部 提供:三井不動産商業マネジメント株式会社
Adobe Express を採用した理由
同社の採用したプロセスは、生成 AI で必要な画像を生成し、それを素材に Adobe Express でバナー制作をするというものです。デザインツールに Adobe Express が選ばれた理由は、デザインスキルがなくても直感的に使える操作性と、アドビ製品に対する信頼でした。
「デザインツールの選定では、非デザイナーのメンバーでも簡単かつ感覚的に使えることを重視しました。Photoshop のような専門的なツールを開発している企業がデザイン初心者にも使えるようにしたものが Adobe Express です。そこがプロジェクトにフィットしていると評価しました。もうひとつ、アドビ製品への信頼も大きな理由です。社内外の大勢のステークホルダーに説明をする段階で、三井不動産グループの中で既に他のアドビ製品が使われているという実績への信頼の高さは大きかったです」と高橋氏は言います。
作業に必要な要素だけが表示されるシンプルで使いやすい Adobe Express のデザイン環境
生産性を向上させるオリジナルテンプレート
マーケティング推進部では Adobe Express を導入するにあたり、オリジナルのテンプレート集を作成しました。各施設が制作するバナーのコンテンツやレイアウトを想定してデザインされたスターターキットです。
「画像の使い方、CTA の配置など、実際のバナーを想像しながらいくつかのパターンをつくり、各部署に共有しています。見ての通り、色はモノクロ、フォントは一種類だけに揃えています。これは、レイアウトも含めて利用者が自由に調整できるものとして作成しているためです」と高橋氏は説明しました。
オリジナルテンプレートを施設ごとに共有 提供:三井不動産商業マネジメント株式会社
オリジナルテンプレートは実際に作業の生産性向上に役立っています。自ら Adobe Express を使用してバナー制作をしているアウトレット運営本部 第一事業部 三井アウトレットパーク入間 OPC 主任 浅苧 尚摩氏は、オリジナルテンプレートを次のように評価しました。
「数多くのテンプレートが用意されていて、どういうレイアウトがいいのか案出しする際に視座を得る助けになっています。何もないところからではなく、テンプレートを入り口にどんな制作物にするかを考えて、画像やテキストを入れて、構成を決めて、完成に向けて調整するという使い方ができるので、仕事が効率的に進みます。用途ごとに専用のテンプレートが用意されているため、バナー画像のサイズを気にせずそのまま作業できるのも便利です」
アウトレット運営本部 第一事業部 三井アウトレットパーク入間 OPC 主任 浅苧 尚摩氏
Adobe Express の便利な機能
生成 AI から出力される画像にはやはり限界があって、不要な要素が描かれているなど、どうしても修正が必要になる場合があります。その際に「Adobe Express の画像編集機能は、細かな修正がやりやすく、感覚的に使えて迷うことなく画像を完成させられます」と浅苧氏は Adobe Express の使い勝手を評価しました。
また同氏は Adobe Express が制作時のアドバイザーとしても役立っていると話しました。
「テキストを配置する際に自動でお勧めのフォントが出てきます。やはり文字の見た目が良くて読みやすいことは大事ですので、多様なフォントが使えて提案までしてくれるのはフォントの知識がない非デザイナーにとって非常にありがたいことです。フォント装飾用の色もたくさん用意されていますし、文字の外枠の色だけ変えることもできます。お陰でかなり編集が捗った印象です」
Adobe Express と画像生成 AI で制作されたバナー 提供:三井不動産商業マネジメント株式会社
生成 AI ツールで販促の成果を最大化
マーケティング推進部では今回の施策による生産性向上をファーストステップと位置づけ、まずはできるだけ多くの現場のメンバーが生成 AI ツールを使用する環境をつくり上げたいと考えています。そして次のステップでは、成果の最大化に生成 AI を活用する意向です。
「今は効率化を推進するフェーズです。でも、例えば 5 種類の制作物をつくって AB テストを行うといったことが生成 AI を使えば現実的になります。AB テストを繰り返して、いいクリエイティブは残していく。データも蓄積して、効果の出るパターンを社内で共有する。そうやってクリエイティブの精度を上げて、販促の効果を最大化する取り組みを次はやっていきたいと思っています。将来像としては、1to1 に近い形でターゲットをセグメントで分けてクリエイティブを制作するところまで生成 AI が解決してくれるといいなという期待があります」と高橋氏は語りました。
将来的な話と前置きした上で、高橋氏は次のように付け加えました。「クリエイティブ制作は販促施策の一部にすぎません。企画を練ったり、メディアに配信する準備をしたり、施策が終わった後に検証したり。この一連の流れをできるだけ自動化して生産性を高めたいと思っています。そこにも生成 AI を活用していきたいです」